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GLAlog-022/巨匠来宅とテレビジョンな取材。-前編-

最終更新: 3月1日

GLAなみなさま、こんにちは。

久々の投稿となります。

せわしい日々に追われておりました。


GLA topicsでもご案内した通りバタバタとしてましたね。

大御所の建築家・伊礼智氏の来宅やテレビ取材。

大変嬉しい限りです。


伊礼さんといえば

沖縄出身で大変素敵な空間をつくる重鎮です。

現在は東京藝術大学で講師を務める等、

優れた建築家の卵の教育にも当たっておられます。

そして、建築家誰もが避けては通れない

巨人「吉村順三」氏の直系の系譜に当たる方でもあります。

当然東京藝大を担うわけです。

吉村順三といえば

軽井沢の山荘」が代表作として

木材など素材を丁寧に用い、スケールやプロポーションも人に寄り添った

非常に均整の取れた建築を残す巨人でした。

未だに、本でも取り上げられるほど教科書的な人物です。


そしてその血を引いたといってもよい伊礼氏。


講演会が札幌であるということで

それに際し札幌の建築を見て廻りたいという話があったようで

コーディネーター役の方がGLAを含めた何件かを

ご案内したようで、見事うちを見てみたいと申し出があったのです。

巨匠のお目に留まったのは大変嬉しいことです。


GLA的には伊礼さんとは作風が異なるので

来て頂くのは結構ですが、

酷評されるのでは・・・とびくびくしておりました。

当然お会いしたこともございませんし。

それでも貴重な機会ですので快諾させていただきました。


そうこう決定してから一ヶ月ほどたって

来札されました。

我が家にいらっしゃる前日に講演会があったので

僕も出席させていただく運びとなりました。

講演内容が前日の飲み会でがらりとテーマが変わったようですが、


その内容は

沖縄の建築と中間領域についてのお話でした。


これはGLAとしても興味の対象でありますので

聴講してきた内容を少しご紹介します。


「やわらかな境界、ゆるかやか繋がり」

と題し、

「家とまちの間」をどうつなげてゆくかという命題でした。


沖縄は日本の中でも最も、南国で日本らしくない地域です。

つまりは東南アジア圏に近い開放感があります。


それは当然ながら気候が年中、暖かいわけで

北海道のそれとは違い、

古い住宅などは、外の延長のような軽い構成で

内部空間を作ってあります。

現代は、台風の影響の方が大きいでしょうから

コンクリートを用いた建築が大半です。

それでも、上手に、日差しや風とのバッファーをつくる設計が

なされるのは箱ばかり作る北海道勢としても

非常に学ぶべき点が多いと感じています。


GLAとしても沖縄に過去に行った際にはそのことをすぐに察知しました。


脳と身体が素直に悦んでいます。

もはやその有様や居心地は「楽園」。

建築が呼吸をしているかのような、快楽の世界でした。


北海道では味わえない、人類の源ともいえる環境がそこにある気がしました。

おそらく人類はみな、その環境を共通に悦ぶのではないでしょうか。

まあ、平たく言えばリゾートに人が集まるのは

そういう開放感が病みつきになるからでしょう。


それが、住宅レベルで成立している。


うーん、うらやましいですね。。。


そんな、

中間領域を語る上で重要な沖縄の国指定重要文化財「中村家」を引き合いに出されます。

そして、そちらにある「ヒンプン」について語ります。


中村家の門構えです。豪農の住宅ですから非常に立派です。


「ヒンプン」とは、道路と、家の間に目隠し状に作られる

背丈ほどの分厚い塀のことです。


重要なのはこのヒンプンが道路より

すこし敷地内にセットバックしたところにあります。

このような感じです。


つまり、一種の塀なわけですが

人やまちと隔絶したり拒絶するのではなく

セットバックすることで、人もまちも敷地内に引き込む効果が生まれます。


GLA的にも、「中村家」に行った際、初めて見たものですから

意味もよくわからず、ただ、その石塀にひきづりこまれる感覚を覚え、

また、同時にその壁に受け止められて導かれるがままに中に入ってしまいました。

そしてその壁自体の重厚感や質感に心奪われました。


今回解説していただいて分かったことですが

このヒンプンは、目隠しの役割と、魔除けの意味合いを持っているそうです。


そして男性は右側から入り、女性は左から中に入ってゆくしきたりがあったそうです。



そしてこのヒンプンの裏側が「アシビナ」とよばれる子供たちが遊ぶような

庭になっているということでした。


石を積み重ねたもの、砂を固めたもの、

テーブルサンゴを積み重ねたものなど様々なヒンプンがあるそうです。


次回行った際は、そういう目でぜひ見学してみたいと思いました。


また、沖縄の古民家の特徴として

アマハジ(雨端)という外と内の間の

軒下で遊べるような場所があります。


軒が地面から2.5mほどで家の中が地面より上がっていますから

中から見ると1.8mほどの高さで景色が切り取られます。

しかもそのアマハジの奥行きは1.7mもあるというのですから

人のスケールに寄り添ったとても気持ちの良い中間領域となっているわけです。


アマハジとアシビナ空間。

縁側空間。右に左に視線が向けうよう設計されています。

ヒンプン裏のアシビナを臨む。

視界を低く切り取っています。


このように内部空間もとても魅力的で

随分と長いこと滞在した記憶があります。

やはり、この外との連続の気持ち良さったらないです!

北海道だと凍え死んでしまいますけどね。

ただ、人類のDNAとして本能的に欲する空間なんだと思います。



また、沖縄ならではですが、「御嶽(うたき)」という

「この世とあの世の間」とされる信仰的外部空間が多数あります。

そちらについても触れられておりました。


行ったことのある方はご存じでしょうが

本当に委縮してしまう程の力強い自然の力でできた空間があります。

まさに、パワースポットですね。

GLAもかつて世界文化遺産にも登録されている

「斎条御嶽(セーファーウタキ)」という最大の御嶽に行ってきました。

ここは、琉球王国の創世神「アマミキヨ」によるものとされています。


アプローチはこんな、巨岩の間を抜けてゆきます。

スケールがわかりにくいですが、上の樹木の寸法を参照してみると

その巨大さがわかります。


近づいてみます。

自然にできた三角のトンネルがまた幾何学ゆえにその力強さを増しています。

奥には光が降り注いでおります。

くぐると、鬱蒼とした緑の中ぽっかりと海が見えるようになっております。

そして 左手に神の島・久高島を拝む ことができます。

戻りの景色。

延石のアプローチも大変に美しいですね。


GLAもチャンスさえあれば日本各地廻っていますが

こういう自然が織りなす建築空間は、なかなかに出会えない光景です。

自然への畏怖、が自ずと立ち上がる場所が信仰につながるのは、

理屈というよりも直感として理解できます。


近い感覚として、バチカンのサン・ピエトロ寺院や

ガウディのサグラダ・ファミリアが建築物として成立しています。

人体スケールをはるかに凌駕した空間は、

神というものを、見えないが実在化させる、

ということを成功させているように思いました。

確かに降臨してきそうな、入信してしまいそうな感覚。。。


というように、沖縄は、


「死の世界こそが本当の世界であり、現世はその仮の世界」


という認識が受け継がれているとお話しされていました。

確かにユタなどもいますしね。

それくらい、ウタキに代表される信仰空間が身近にある地域なのです。


また、非常に豊かな自然環境に囲まれている地域ということで

「海と陸の間」についても触れられていました。



いやー、きれいな海です。

潮が引くとリーフの浅瀬がどこまでも広がってゆきます。

場所によってはその奥行きが1キロにもなるそうです。


まさにグラデ―ショナルな海と陸の関係が生まれます。

その中間領域では

逃げ遅れた魚やタコ、そしてアオサなんかが良くとれるそうです。

中間領域だからこそ、

豊かな生態系が育まれるということをお話しされていました。

確かに、海洋生物にとってもその中間領域が

居心地がよいというのはうなづける話です。


「家とまちの間」

「この世とあの世の間」

「海と陸の間」


と、沖縄における「間」の意味を色々と語ってくださいました。


そしてあの快楽的な島は、そういう風土でこそ、

ゆるい文化が生まれ根付いたのでしょう。


そんな、伊礼氏は自作においても、

中間領域をとても大切にされていて、設計に身体スケールに寄り添った

やさしい住宅を多く手掛けられております。

とても、練り上げられて丁寧に作られています。

そのディテールもそうですし、素材の扱い方が繊細です。


身体スケールといえば、

吉村順三の系譜の方がとても大切にされていますが、

天井の高さが、2.1mに低く抑えられることも多いです。

最近標準的なのは2.4mほどですから30センチ低いわけです。


GLAもこれまで2.1mの天井高空間を

何度か作ってきましたが大変に居心地の良いスペースとなります。


若かりしとき、伊礼氏がクライアントに天井が低いと

言われたときはどのように対応したらよいかと、

先輩建築家に問うたことがあったそうです。


その時はこういうしかない。。。


「気のせいですよ」と(笑)。


さすがに私も笑ってしまいました。

実に体温を感じる回答ですよね。

GLAとしても今後使わせていただきます!


そして、完成度の高い伊礼さんの作品には

かならず外構がしっかりしています。


聞きますと、住宅には必ず200-300万円は最低、

植栽などをする外構費用を盛り込むそうです。

そして、木々を的確に扱かい

家とまちの間に、緑のレイヤーを織り込んでいって

ゆるくつないでいくとお話しされていました。


さすが、巨匠。。。と思わずうなってしまいましたが

北海道は自然が周りに多いせいか、

予算制限から断念せざるを得ないせいか

植栽に力を入れられる方が極端に少ないのが現状です。


これは、道外に出た瞬間気づく点でもあります。

また、道外から来られた方が、よく口にする言葉でもあります。


「まちがさびしいよね」って。。。


そう、冬の季節が厳しいこともありますが

本当に、無味乾燥な住宅地が多いですよね。。。。。


GLAの事務所も山麓に位置するので

緑という観点からすると多少手を加えて随分と良い雰囲気になってきました。



設計に携わる僕らは、草の根的に街をつくる責任を担っており

必ず、予算が足りなくても外構計画まではしておかなくてはならないと

改めて感じました。

そう、GLAの「森の素形」もやはり例外ではなく、

住宅にすべて資金を費やしてしまったため放置していたのですが

最近、ようやく少しずつ庭に力を入れ始めています。


少しずつでいいのです。

毎年、木を1本、花を何株か植えてゆけば

3-5年くらいで自然と調和した、家ができてゆくものです。


植物はいらないという方も多いのですが

それでもやはり、自然界のイチブとしての我々は

自然に寄り添った生き方が素直なんだと思います。

家とまちの間にいくつもの緑のレイヤーを盛り込む。

わかってはいることでしたが

とても素晴らしい講演会でした。


ということで、「森の素形」の中間領域である

3つの中庭「外の間」とその外側に漂う庭の

ゴールもようやく少しずつ見えてきました。


・巨大な鉄平岩と苔の中庭

・アジサイなどの低木の中庭

・月見台の中庭


そして、斜面に自生していたヤマモミジを移植し

さらに家の前に大木を植えようと考えています。

現在は、落とし穴になっていますが・・・

まさに木々に包まれた環境ができることを楽しみにしています。


なんの木にしようかな・・・・

自生する木々との相性も大事ですからね。


今回は、伊礼さん来宅前のお話で力尽きてしまいましたが

ぜひぜひ中間領域の持つ魅力をわが事務所にも見にいらしてください。

contactよりメッセージ頂ければご案内いたしますので

お気軽にどうぞ!


哲学者・野谷茂樹氏曰く

「設計とはどれだけ外部を取り入れるか。」と。


次回はいよいよ、テレビ取材の裏側のお話です。


それではお楽しみに。



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