【深澤青果菊水】

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深澤青果の菊水店．これまで同系列店においては店舗ごとに特色を出したデザインを生み出してきた．いずれも「青果店」の在り方を模索していたわけだが，「半外部」という形態こそ，その業態の空間アイデンティティーであると考えてきた．様々な建築における弊所自身の空間的興味もこの半外部としての「中間領域」にある．北海道という厳しい環境下，熱的半外部でもある空間のデザインの在り方をこの一連の作品群を通して取り組み，提示してきたようにも思う．今回もこれまで同様，半外部的仮設感を伴なったデザインを模索した．

 

店主からはこれまでより，より無機質にできないだろうかという問いをいただいていた．もっとそぎ落として野菜や果物にお客さんの意識をフォーカスさせる．今回もエキチカのテナントを選定し，奥行きの長い特徴的な空間を改修してゆくこととなった．リノベーションの計画としてはシンプルに色味をシルバーに統一し，その中へ直線の照明を三本吊り下げ，奥行きを強調するように構成していった．既存の天井も撤去し、コンクリートの肌や，配管をむき出しとし，それらを銀色に塗りつぶした．壁面に関しても若干ではあるが，野菜の色味を映し出している．シルバーで一見冷たい印象もあるが，空間体験としては全くそうではなく，青果に呼応したような柔らかな印象の空気感となっている．無駄をそぎ落としたモノトーンの工業的な空間の中に，野菜や果物が彩りを解き放ち，今回もここだけの「青果店」を生出させることができたように思う．