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宮 の 沢 の 形 象
S A P P O R O / 戸建新築

・Replan 雑誌取材/巻末「北の建築家」特集

【宮の沢の形象】

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三年ほど前にある建築家夫妻が訪ねてきた.私たちと一緒に家づくりをしてもらえないかという相談であった.それから完成にいたるまで私たちはじっくりと打ち合わせを重ねた.土地探しから相談に乗っている中である時,緑に包まれる広い土地を見つけることができた.目の前には手稲山から連なる丘陵地が迫り,その森は美しく手前には小さな川が流れていた.私もご夫妻もすぐに気に入り,自然豊かな環境の中で設計がスタートした.

 

夫妻とは双方に意見を出しあいながら楽しくも緊張感のある時間が流れた.幾度もの打ち合わせを重ね一年が過ぎた頃にようやく最終形が見え始めた.様々に変容してきた着地点としての形態は,矩形平面の平屋に六角柱の塔が貫入した構成となった.外観は銀灰色をベースに自然と拮抗させながらも調和させることを考えていた.見る角度や距離によりシルバーは自然の色合いをまといながらその様相を変化させる.また水平ラインの美しい庇はガラスを介し内部へ浸入してゆく.内外の天井は銀色に塗装が施され,眼前に繁茂する植物の緑が住宅内部へ反照し,空間を四季折々に彩る.柔らかく映り込んだ天井は質量感が減退し,軽やかな居心地を生んでいる.

 

一階においては塔が貫入した部分をコアとして,キッチン,階段室,WCが格納された.その周りに玄関,ダイニング,リビング,書斎が取り巻く形となっている.そこここに佇んでみるとすべては断続的につながっているが,どの場所においても異なる居心地を感じることができる.森とまちに開くそれぞれの大開口は内外を通り抜けることのできるような,まさに大地と連続した構成であり内も外も自由に回遊できる伸びやかさを獲得している.これから作りこまれてゆく庭と森の緑が相まって,植物と建築の重層的な関係が生まれることを期待している.

 

またコアの一部には黒皮の鉄で作られた瀟洒な螺旋階段を設えた.見上げると最上階まで伸びる五角形の筒の上部より銀色をまとった光が下りてくる.二,三階にはそれぞれに一階とは異なる表情を持つ空間が積み上げられている.二階は主寝室と水廻りで構成され,迫力のある木架構の天井の下,長大な家具がデスク,洗面台,洗濯スペースを兼ねて設えられている.その一部のドアから屋根のテラスに出ると,札幌の街並みや遠くの山並みを見渡すことができ,円を描くデッキの上では心地よい時間を過ごすことができる.また,寝室の小さな窓からは小川に沿って伸びる美しい緑道を望むこともできる.そして螺旋階段の先の三階ではラワン合板で包まれた木質感の強い空間が広がっている.壁の開口部は慎重に検討され,切り取られた景色はまさに絵画のように浮き上がり,美しい.三層それぞれに異なる景色への応答となった.

 

この建築は宮の沢の雄大な自然を存分に感受するための装置であり「翠緑の反照と銀灰の塔」という「形象」として立ち現れた.そしてこの「形象」の内においては異なるシーンが次々と展開し,幾何学的清廉さのある図面からは想像のできない,多様さや豊かさに満ちあふれている.

一級建築士事務所 GLA 

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