VENICE CREVASSE

敷地は緑深い山裾に位置する.

ここに佇むと,建築は大地や空に連なるような環境的な在り方が相応しいと感じた.

大きな要求ヴォリュームをできる限り周囲の景観へ馴染むよう,通りから裏庭へ抜けるトンネルを穿ち,窓はぱらぱらとリズミカルにまちに向け配されている.

夕暮れになると,通りから望む灯りが柔らかくもれる姿もまた印象的である.

内部は「個」を重んじた構成としながらも,多くの部屋をパッケージングする上で,家族を意識できる仕掛けを投入した.

それはヴェニスの路地に着想を得た個室間を貫通する楽しげな吹抜空間である.

また,内外にある5つもの階段によって動線は阻まれることなく,空間はどこまでもループ化されてゆく.

その様相は,内外に散りばめられた30近い空間が大小集密した小さなまちのようでもある.
中間領域として挿入された外部空間からは,それぞれに異なる光が住宅内へと導かれ,明るさの粗密を作っている.

その光の分布と外部との操作された距離によって,実に「静」と「動」多様な居場所が生出されている.

建築には土の版築やコンクリート,カバ,ウリン,竹,煉瓦,鉄などの無垢素材が与えられ,この地に極力連続した様相を呈するよう意図されている.

さらには,雑木林のような植生を与えた前庭と大きな裏庭は建築に寄り添いながら大きく育ち,豊かな環境を生み出している.

「自然と建築」の「対峙と調和」に挑戦した住宅でもあった.

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