深 澤 青 果   元 町 店
F U K A Z A W A   S E I K A   M O T O M A C H I

S A P P O R O

【深澤青果元町】

「八百屋」の在り方を思考する.キンキンと白く照明が光る事務所スペースからの転用.街角のスーパーのような装いを纏わせるのが標準的な解答になるプロジェクトをいかに昇華させるか.
八百屋はその業態上,扉が常に開かれている.そこへ人が外気を纏って流入し,滞留し,出てゆくという一連の流れるような動きを考えたとき,そこはほぼ半外部的な仮設感を伴う空間であることに気がついた.当初,外部と切れたエンクローズされた「箱」の中での内向的デザインを検討していたが,徐々に違和感を感じ始めた.「半外部」や「仮設感」を念頭に入れたとき,外部のようなざっくりとした内部空間であったり,内部の空気感が外にしみ出してゆくような「平衡的」な状態を構築するのが適切であると考えるに至った.それはある種の半屋外的な空気感で,始まりも終わりのない漠然とした空気のような「場」をつくること.
このように茫漠とした「状態のような空気感」を目指すことから,素材も仮設感のある工業製品を用い粗い表現とした.そこには作り込んだディテール的完成度は必要なく,農業的仮設建築感こそが相応しい.天井は鉄骨の躯体に塗られた錆止めの朱色をそのままに空間の基調とし,床にも色を転写し,朱色で挟まれた空間を用意した.これは青果を並べる黒色のコンテナ台や青果自体の色味との相性も良いと考え,異化された場を演出している.壁はその一方で中性的に扱い,鈍く銀色に光るスタッドや黒い半透明な波板ポリカにより壁面の質量感を減退させ,また一部では空間の増幅を意識してミラーを用いている.またどこか懐かしいハーフミラーの電球を用いた特徴的な照明計画は照度をまかなうほか,既設の朱天井の下にもう一層,人と野菜を包み込むような柔らかなレイヤーを設ける意味がある.この電球の点が無数に頭上に浮くことにより,目指した「状態的場」を生み出せたのではないかと考えている.開口部の大きなガラス面を通して外部へもその空間がにじみ出ている.
一見して八百屋然としない佇まいが青果とのコントラストを強め,野菜や果物たちがキラキラと光る宝石のように引き立てられ,空間と青果が呼応するような肉迫した場となった.無数の光に導かれ人が集まり,まちの一角が活気に満ち溢れている様を見ると,従来の商店がもつ賑わいを取り戻せたような気がして嬉しい.
若店主は言う「かっこいい八百屋じゃなきゃだめんなんだ,若い人がやりたい仕事にしなきゃ.」と.

一級建築士事務所GLA

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