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L E N N Y   R H E T O R I C
S A P P O R O

【LENNY RHETORIC】

生家を建替える計画であった.
御夫妻はあるミュージシャンの邸宅の写真をお持ちになり,このようにしたいとお話された.そのスーパースターの奏でる空間は,建築としていわゆる大豪邸であり一般常識からはほど遠いインテリアによって構成されていた.ご夫妻は彼の音楽性のみならずそのファッションや生き様まで心酔しており,実にアート寄りの感性をお持ちであった.そこで,その想いを尊重し,同じとまではいかなかったができる限りのヴォキャブラリーを尽くし,私の中でもこれまでにないインテリアを構成していった.プランはクライアントと話し,できるだけ立体的に構成してゆくこととし,全てが繋がっていくような複雑さを加味している.平面図を見ても立体がすぐに読み取れないような,ある種混沌とした世界を構築し,作り出した.自然光も少し絞り,明るすぎないよう注意し,素材もざらついていたり艶を放っていたり様々だがアンダー気味の空気感を纏わせた.それが彼の音楽性とリンクすると考えたからである.
更には建築を構成する要素に命を吹き込んだ.例えば階段はグリッドから逸脱し斜めに振れ,握るには太すぎる手摺と戯れる.さらに天井は幾重にも重なったりはみ出したり,反射したり透けたりと言った具合である.壁はギターのボディーのようにエレガントな曲線を用いた.
様々な要素がオーバーラップしながら空間を織り成し,肉体へも働きかける力強い無二の構成となっている.全ては二人の敬愛する音楽家,レニー・クラヴィッツが奏でる音楽のように.

一級建築士事務所 GLA 

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