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S T O R Y - C A S E   0 1
「銀斜壁の境界」

​―敷地と素材を生かす窓で内外の空間をつなげた家―

建築家と一緒に土地を探して,緑の眺望を楽しめる家をつくりたい.周りの自然が身近に感じられ,互いの気配が感じられる開放的な空間と開口,素材感を生かした内装.「自分たちらしさを表現したい」とご夫妻が長年温めていた要望は,多岐にわたりました.その願いは建築家,高野現太さんとの家づくりで見事に叶えられました.

​取材/Replan

 札幌中央区にありながら,豊かな自然景観に包まれた住宅街の一角に,ご夫妻が高野さんと見つけた宅地は,求めた「眺望」を叶えられる絶好のロケーション.2階に設えたワンルームスタイルのLDKの大きく開いた窓からは,ご夫妻がお思い描いたとおり,周囲の森と山並みを一望できます.

​ さらに,高野さんの提案で銀斜壁のガルバリウム鋼板をそのまま2階の内壁の一部に取り込むことで,内外の空間にダイナミックな一体感と,斜め壁に包まれるような居心地の良さも作り出しました.「延床26坪とコンパクトな住まいですが,自然に目線が外に向き,のびのびとした気持ちで暮らせます.」

 プラン時,ご夫妻は「周りの自然の気配をいつも感じながら暮らしたい」と考えていました.高野さんはその要望を叶えるため,ワイドな眺望が楽しめる2階ダイニング・キッチンの大開口以外にも,間仕切りを最小限にした住まいのあちこちに趣の異なる窓を散りばめました.2階のワークスペース前には,小さな中庭テラスと空が見える窓を設え,公道に面した南側の外観には,V字の切込みを入れて「外部の窓」を設け,その隙間から光だけを室内に取り入れる窓を設置.玄関の正面には,イロハモミジと空が見える窓をレイアウトし,陰影の濃いエントランス空間に明るさと奥行き感を与えました.「キッチンから南の窓のガラス越しにリビングでくつろぐ家族が見えたり,スキップフロアの高低差で景色の見え方が変わったり.家で過ごす時間が長くなりましたが,変化に富んだ窓辺の景色が楽しくて退屈しません」と、奥さんは笑顔で話してくれました.

床から天井まで延びる窓が透明な壁となり,住まいの内と外がダイナミックにつながるダイニング・キッチン.パノラミックに広がる外の景色に意識が向くよう,開口の角度も105度と計算されている.

シルバー素地仕上げのガルバリウム鋼板を用い,南側にV字に切込みを入れた斜壁を設えた個性的な外観.

ダイニング・キッチンと階段を挟んでレイアウトしたリビングは,スキップフロアで床高を下げ,オープンな空間を緩やかに分離.

ご夫妻の要望で設けたワークスペース.ダイニング・キッチンの開口と同じサイズの窓を採用しながら,スキップで床高が3段下がり,座ることで空を感じる開口となった.

窓辺に造作カウンターを設けた1階北側の大開口.左手に進むと洗面室,トイレにつながっている.

透過光が美しいパンチングメタルを踏板に用いた階段.南側銀斜壁の切れ込み部分に設けた採光窓から入る光は玄関へ落ちる.

別々の空間にいてもお互いの気配を感じられるように,間仕切壁はすべて上部を閉じず,上下階の空気がつながるように配慮した.

外からの目線が気になる公道側を庇のような外壁で閉ざしながら,一部を切り取ることで中間領域と採光窓を設けた銀斜壁の開口.

大きく張り出した銀斜壁の下には,テラスとしても活用できる中間領域を設けた.

つながった空間でありながら,独立性と奥行き感を高めた1階洗面室.

北と南に開口を設け,その間の壁にはラフな波型スレート板を張り,内と外のつながりを演出した寝室.

眺望の良さを生かし周囲の自然を取り込む天井までの大きな窓と天井に架かる構造梁が,自然と視線を外へ向かわせる.昼間は街並みと山並みが一望でき,夜は札幌の夜景を楽しむことができる.

造作キッチンの前には,銀斜壁の内側に設けた採光窓があり,二つの開口を通してリビング側を見ることができる.

天井の現しの梁,ウォールナット・ヘリンボーン張りの床,銀斜壁のガルバリウム鋼板のコントラストが美しいリビング.

二階ワークスペースの前に設えた中庭テラスと空を眺められる窓.外壁に使用した素材を室内にも取り入れることで,内外のつながりが​生まれ,開放感を増している.

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