

【赤褐と稜線-CASA ROSSA 南円山-】
札幌の中心部からほど近い南円山,二つの道路に挟まれた三角州のような敷地にこの集合住宅はある.背後には円山の深い緑と稜線が広がっている.この特徴的な敷地を余すことなく使いながら,その形を素直に建築へ置き換えることを考えた.三角州の輪郭に沿って外壁を伸ばすことで,建築には自ずと斜めの線が入り込み,街に向かって鋭く伸びる赤褐色のヴォリュームが立ち現れることとなった.
円山という大きな自然の風景を背負うこの場所に,どのような建築を置くべきかを考えた.周囲に埋没するのではなく,かといって風景から切り離された存在でもない.背景の深い緑の中に赤褐色の建築を差し込み,互いの色彩と輪郭を際立たせることで,円山の風景に呼応しながら,街の新たな目印となるような存在をつくりたいと考えた.季節によって表情を変える山の緑と,変わらずそこに立つ赤褐色の建築との対比も,この場所ならではの風景になるように思う.
各階には三つの住戸がある.一つは背後に迫る円山を望み,一つは札幌の中心部へ視線を伸ばし,もう一つは南へと広がる風景に向き合う.同じ階にありながら,それぞれの住戸が異なる方角へ開き,異なる札幌の風景を日常の中に取り込んでいる.
三角州に沿ってつくられた平面には,一般的な集合住宅ではあまり見られない斜めの壁が入り込む.直交する壁によって整然と区切るのではなく,斜めの線によって空間の広がりや奥行き,視線の抜けに変化が生まれ,住戸ごとに異なる居場所がつくられていく.不整形な敷地を克服するのではなく,その形を使い尽くすことで,この場所でしか体験することのできない空間の豊かさを探った.
住戸へのアプローチでは,赤褐色の外観から少し距離を置き,焦茶色のタイル壁が住人を内部へと誘う.その先の共用部はコンクリートの肌を残しながら,素材を抑えた落ち着きのある空間とした.街から建築へ,そして住まいへと移り変わる中で,少しずつ空間の表情が変化していく.各住戸のインテリアも一様なものとはせず,それぞれに異なる素材や色調を与えた.集合住宅でありながら,住人が自身の感覚や好みに近い空間を選ぶことのできる余地を残している.
一階には街に開くテナントを配置した.昼間には赤褐色の建築が緑を背景に街角の風景をつくり,夜になると一階から漏れる光が足元を照らし,昼とは異なる表情で街を彩る.住宅だけで閉じるのではなく,人の活動や光が街へ滲み出すことで,この建築が周囲の日常の一部となることを考えた.
円山の稜線と,その手前に立つ赤褐の建築.三角州という土地の形,そこから望む三つの風景,街と住まいをつなぐ光.この場所にすでにあるものを読み取りながら,それらに新しい関係を与えることで,ここにしかない集合住宅の姿をつくろうとした.

























