みなさま、こんにちは。
また更新が遅れ気味になってしまいました。
意外に読んで頂けているようで
大変嬉しい限りです。
本日のお題は、掛時計。
今回は気軽に読める内容なので最後までお付き合いください。
某「澪工房」という家具屋さんからのお誘いで
掛時計のコンペをやります、とお声がかかりました。
20000円で販売できるように
コスト感覚も大切にしてくださいとのこと。
澪工房さんといえば
素材のもつ特徴や個の質感を大切にしながら
洗練された意匠をもって家具に仕立ててゆく素敵な家具屋さんです。
GLAもこれまで大変お世話になっており
自邸のソファーをお願いしたり
いくつかチェアを使わせていただいております。
そんなステキなお店に似つかわしい掛時計。
そのお店にいらっしゃる方が買いたくなるような時計。
そして、最優秀賞の方には
デザインした時計が製作されて記念贈呈されるという話だ。
じつは
。。。。。。
わが家には時計がない。。。
探していたのである。
この空間に似つかわしい時計を。
その依頼を快諾し
何が何でも最優秀賞をもぎ取らなければならない。
さて、どんなデザインが良いのだろうか。
プロダクトデザインというものは
建築と違って
「機能」以外にデザインのヒントがない。。。
自分でコンセプトを決めなければならないのである。
唯一「澪工房」製ということがその他のヒントである。
木を使用すること。
それも、無垢材である。
それが不可欠な与題でもあった。
20000円
原価を適当に設定する。
なるべく少ない部材でコストを落とし、
手間を少しかけよう。
そんな問答を繰り返し
手に入りそうなできるだけ薄い板で構成しようと考えた。
澪らしさ。。。
洗練されたデザイン。。。
う~ん。
洗練されているだけでは
GLAらしさがない。。。
おそらくきれいな作品は
他のデザイナーや建築家が考えるだろう。
建築家らしさも出したい。
板、板、板、
いた、いた、いた、
イタ、イタ、イタ。。。。。
そうこうすると、
日本古来からある組子の発想が出てきた。
しかし、複雑すぎる素敵なデザインは当然予算オーバー。
シンプルに縦横の
格子デザインをベースに
立体的な掛時計をつくれないだろうか。
良くあるぺらっとした
うすいプレートだけの掛時計ではなく
陰影が深いデザイン。
よしよし、
みえてきたぞ。
構成はできてきた。
さて、その形はどうしたものか。
〇?
□?
△?
幾何学で規定されたデザインがいいのだろうか?
そもそも、建築自体が直線で作られている。
だいたいの壁はまっすぐだ。
そこに掛ける時計。
建築になじませるデザインは
先に話したような洗練させたミニマルなデザインになろう。
建築に特異点を与えるがごとく
存在感をあたえるのも「モノ」としての宿命である。
そして、それが「モノ」のもつ魅力であり、
ゆえに愛着が生まれる。
でも待てよ、
カタチが強すぎても好き嫌いがでるし
どんな家にも合うとは限らないな。。。
カタチはややおぼろげの方がいいのかもしれないな。
アウトラインも幾何学ではなく
手書きのような柔らかさ。
自然発生的なナチュラルなラインがほしい。
純粋さ。
無邪気な。
ん?
そういえばピカソもそんなこと言っていた。
子供に戻りたい。
子供こそ無垢な芸術を生み出せる。
そんなような言葉を目にしたことがある。
僕はもうけがれてしまった。
カタチに根拠を求めてしまう。。。
脳ミソで形をおっかけてしまう。
これって、ある意味理性的ではあるが、
理屈づけた恣意ともとれる。
いかん、いかん。
とってもじゃないが、純粋さからは程遠い。
!!!
わが家にはまだ無垢な子供がいるではないか。
お~い。
パパとお絵描きをしよう。
一緒に時計のデザイン考えてみないか~?
とおだててみる。
なんでもいいんだけどさ~
好きな形を何個か描いてみてよ~
ほうほう。
その手からは形になり切れない
おぼろげな形がどんどん生まれている。
よしよし、しめたものだ。
この中からこれと思える形を拾い出そう。
ん?ハート?
これはハートの形なのか?
ずいぶん、ひどい形だな。
でぶっちょのハート。
ハートというよりは、はーと。
あまりにもつたない。
こういうことか。
恣意のない形。
大人がかけない世界。
洗練とはほど遠い世界。
キタッ!!!
これはかわいい。
もはやハートには見えないが
なんとも言えぬ良さがある。
抽象的なカタチとして、
いろんなものを想像させそうなカタチ。
いいぞ。
でかした!
そうこうして、僕はその原案を
ラフスケッチとしておこしてゆく。
ふむふむ。
簡単な原理とおぼろげで抽象的な形状。
そのこころに「愛」も織り込んでいる。
さらに
パソコンに落とし込む。
あ、あぁ。
デジタル。。。
均質な線。。。
あぁ。ちがう。。。何かが違う。いや全然違う。
愛が感じられない。。。
まあ、
アウトラインは表現せずに
おぼろげに見せればいいわけだから
どうにか、デザインとして昇華させれるのかな。
そうこうして出来上がったのがこれである。
うん、GLAらしい。
無事締切日ギリギリに図面を製作し提出。
2週間ほど後の来たる澪工房の「時計展」にて
最優秀賞が発表される。
まあ、最優秀賞に選ばれなくても
綺麗な掛時計はたくさんあるようなので
見に行ってみようか。
「時計展」に駆けつけた。
そして、
最優秀作品が、発表されていた。
なんと!!!!!
ない!
どこにも僕らがデザインした掛時計の姿がないっ!
「落選」💀💀💀
なに!? 落選だと?!
子供まで出しに使ったのに。。。
その思惑があった時点でこの作品はピュアではなかったのか。。。
くっ、、、無念。
「高野さん、残念でしたね~」と労いの言葉をかけられ
最優秀賞の掛時計を見せられる。
う、ううう、洗練されている。
やはり王道がよかったのかぁあああああああああああ。
「ぼ、ぼくのっ!僕の何が駄目だったんだっ!!!」
「それはですね、手間がかかり過ぎなのでこれはだめですわ」
。。。。。。
「いや、そんな難しくないぞ。
ここをこうして、こうやってつくるんだから!」
「いや、そうなんですけど、それはかなり大変なので。。。」
。。。。。。。。。。。。。。
ということで、私の晩秋のイベントは終わったのでした。
いいんだ、時計はまた今度。
冷静になろう、冷静に。
いいデザインをしたはずなんだ。
間違ってないさ。
ん?なんだ、この手にしているものは?
うす緑色の椅子。
あぁ、そうか、俺は椅子を買ってしまったんだな。。。
時計も買わずに。。。
いいんだ、、これずっとほしかったやつだし。
10年近くほしかったんだもんな。
現品限りだし。
来月はクリスマスだし。
ちょっと、はやいけど。
今年がんばったもんな。おれ。
時計なんてもうどうでもいいのさ。はは。
様々な色が織り重なることでうまれる深みのある色と質感。
わが家にもとても合いますね。
一目ぼれです。。。
GLAな掛時計編。
いかがだったでしょうか。
どなたか製品化しません?
なお、澪オリジナルの時計で買おうか悩んでるのはこれ!
いやー、やはりいいですなぁ。
それでは次回もまた気の向くままに執筆いたします。
おたのしみに!
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